HCLTech、データクラウドを活用してエンタープライズ・データプラットフォームを近代化
HCLTechはクライアントと戦略的パートナーシップを結び、次世代の統合データオペレーションを通じて、複雑な異種アプリケーションとインフラを管理する協調的なオペレーティングモデルに取り組んでいます。
このパートナーシップでは、複数の商用アプリケーションやレガシーシステムからデータを取り込み、データ製品に合わせた統合データプラットフォームを提供しました。SAP/非SAP環境のデータを統合したことで、ほぼリアルタイムの可視性が実現し、グローバル在庫の確認と価格の分析が可能になりました。
課題
複数のデータプラットフォーム、集中管理の不足、意思決定の遅れ
あるクライアントは、業務に複数のERPシステムとインスタンスを利用していました。長年にわたり、意思決定に対する事後的なアプローチがビジネスの俊敏性と市場対応に影響を与え、SAP/非SAPのERP間でデータの標準化の問題が生じていました。この問題は、コンプライアンスやレポーティングに関連する地域的な相違やカスタマイズによってさらに深刻化しました。ほかにも次のような課題があげられます。
- データレイクのデータ品質と同期が不十分で、データの信頼性に懸念があるため、データが十分に活用されていない。
- 効果的なデータ産業化戦略が欠如し、新しいデータソースの導入が大幅に遅れ、困難になっている。
- ガバナンス基準と透明性が欠如し、コンプライアンス、監査、データセキュリティに悪影響が出ている。
- 全世界で1万点以上の製品SKUを販売するこの主要多国籍メーカーでは、30か所以上の生産拠点と各地域の営業拠点にERPシステムが分散し、価格設定の最適化に課題があった。各拠点が異なるデータ、モデル、ルールを利用しているため、全体を可視化して高度な分析を行うことに困難が生じていた。

目的
データ主導の企業として、モダン・データプラットフォームの信頼できるデータセットをプロビジョニング
クライアントが必要としていたのは、クラウドデータ・ウェアハウスのプラットフォームです。複数のソースから生じる大量のデータのホスト、データ製品としての高品質なデータセットの確保、ビジネス分析の実行、資本支出の削減、効果的なDataOpsモデルへの移行が目的です。
拡張性とパフォーマンスに優れた統合データレイヤーを構築するうえで重要な優先事項とされたのが、データプラットフォームの近代化です。HCLTechと協力することで、クライアントは、コグニティブインサイトとほぼリアルタイムの分析レポーティングを導入し、サプライチェーンの可視性を最適化したいと考えていました。グローバルレベルでの在庫状況の把握やサプライチェーン分析、価格分析の理想的な可視化を支援するために、データプラットフォームの近代化とビジネスインサイトが必要でした。
そして、ユースケースに基づいた効果的な販売予測を実現するために、データ主導の企業体制を構築する必要がありました。また、企業内のさまざまな部門に価値を創出するための、重点的な共創センターの開発や、追加のデータソースに対応するための段階的な変革ロードマップの策定も求められていました。

ソリューション/解決策
データの近代化とインサイトの簡素化
30か所以上のERPとレガシーデータソースからデータを取り込み、さまざまなERPとWMSシステム間でSKU定義を標準化し、データ製品を作成することで、Snowflake上にクラウドデータ・ウェアハウスを設計、構築しました。ソリューションには、Microsoft Power BIを使用したダッシュボードと分析レポーティングの構築も含まれていました。つまり、HCLTechはクラウドベースのデータウェアハウス・プラットフォームを提供し、大規模なデータの民主化と探索を可能にしました。エンタープライズデータに関する取り組みでは、データガバナンス、データカタログ、データリネージにも焦点を当て、コンプライアンスとデータセキュリティの向上を促進しました。
- 迅速なデータオンボーディングにより、インサイトを素早く引き出せるようになりました。HCLTechの専門知識により、30か所以上のERPが統合され、一貫性のあるシームレスな意思決定が可能になりました。
- HCLTechのデータ主導のインサイトにより、パフォーマンスが向上しレジリエンスが高まりました。機能リポジトリを一元化し高度な分析モデルの構築を迅速化しながら、Snowflakeを使用して最新のデータクラウドを導入し、拡張性、信頼性、回復性に優れたエンタープライズ・データウェアハウスを実現しました。
- 価格の詳細など、分散した販売・請求データを統合することで、全社規模の分析によるポリシーの最適化が可能になりました。
- HCLTechは、30か所以上のERPシステムから、価格、製品、顧客、地理空間属性など、トランザクションの売上と請求の明細データを抽出し、クラウドベースのデータウェアハウスにデータを統合しました。
- セマンティックレイヤーを作成し、役割ベースのダッシュボードとレポートでブランド別、地域別、顧客セグメント別の価格パフォーマンスの傾向を可視化して、価格弾力性、価格変動、市場価格テスト分析の高度なモデルにより価格の最適化を実現しました。
- ペルソナ(ユーザーの役割定義)に基づくデータ資産やデータ製品へのアクセスにより、データの民主化とデータリテラシーを実現しました。
- データファクトリー・アプローチで、強力な自動化とツールの構築、導入を支援しました。

インパクト/成果
信頼できるデータセットで効果的なビジネスインサイトを促進
- データオンボーディング・プロセスを合理化し、データインサイトの単一ビューを構築して意思決定をサポート。販売予測、価格分析、サプライチェーン分析など、複数のユースケースに基づき、3,000万ドル以上のコスト削減を実現しました。
- AWS/Snowflakeでホストされるデータクラウドに90個のデータソースをオンボードしました。
- 価格分析用に複数のデータマートを実装し、Microsoft Power BIを使用して複数のダッシュボードを作成しました。
- データプラットフォームを変革する取り組みにより、テクノロジーのROIを向上させ、消費ベースの分析と迅速な意思決定を通じて大幅なコスト効率化を実現しました。
- クラウドデータ・ウェアハウスへの統合は、ERPに依存せず、サプライチェーンに特化したセマンティックデータモデルで実行しました。
- このレイヤーでは、需要予測、在庫最適化、リスク分析にAI/MLを活用し、サプライチェーンKPIの中核となるインタラクティブなダッシュボードを開発して、可視化を実現しました。
- データサイエンス、機械学習、予測モデリング、ソーシャルマーケティング分析のためのモデルを実装しました。