EMR戦略で2,200万ドルの削減を見込む米国の医療機関
ある大規模医療機関は、コスト効率の高いデリバリーシステムを通じて、エビデンスに基づく優れた患者ケアを提供することを使命としています。年間65万人近くの患者にサービスを提供しているこの医療機関は、HCLTechと提携し、システム全体の電子医療記録(EMR)データの収集とメンテナンス戦略をデジタル化しました。
課題
複数のEMRソリューションによる患者の不満とメンテナンスの問題
米国の多くのヘルスケア企業と同じように、このクライアントの成長戦略もM&Aがベースになっています。この数年で、クライアントは複数の病院やほかのヘルスケアプロバイダーを買収しましたが、それぞれが独自のEMRソフトウェアソリューションを導入していました。そのため、クライアントが管理する複数のEMRソリューションは病院やプロバイダー間でリアルタイムに統合できず、クライアントの広範なネットワークにいる患者は、治療を受ける前にデータを手動で更新し、異なるソリューション間に共有しなければなりませんでした。これは常に患者の不満のもとであり、会社の従業員にとってはメンテナンスという負荷になりました。従業員の燃え尽き症候群や離職の主な指標にもなり、持続不可能な状況に陥っていました。
この状況を改善するため、クライアントはすべての病院、診療所、医院のEMR管理の主要なソフトウェアとして、Cerner Millenniumを選択しました。Cernerの堅牢な患者中心のプラットフォームは、業界で人気があります。しかし、導入とユーザーへの定着を成功させるには、必要なカスタマイズを正確に実行し、ダイナミックなエンドユーザートレーニングを実施して、継続的に技術サポートを提供する必要がありました。さらに、クライアントは、このネットワーク全体のデジタルトランスフォーメーションのために自らに課した、積極的で厳格なタイムラインを満たし、コスト効率の最適化とROIの最大化したいと考えていました。

目的
既存のすべての記録を単一のEMRプラットフォームに移行し、ROIを最大化
クライアントとHCLTechは、2020年~複数年にわたる戦略的パートナーシップを結びました。当初の目的は、Cerner Millenniumソフトウェア導入のコスト効率を最適化し、エンドユーザーのトレーニングを促進して、稼働に向けて必要なサポートを提供するというもので、すべてのスケジュールが非常に厳しく、誰が見ても挑戦的な内容でした。
KPIの観点から、HCLTechはプロジェクトの成功を検証するいくつかの重要な目標を定めました。
- 測定可能な運用コストの削減
- セキュリティとコンプライアンスの強化
- コア・エンタープライズプロセスのオペレーションの合理化
- Cernerの標準的な収益サイクル管理タイムラインの改善
- エンドユーザー(医師、看護師、サポートスタッフ)の満足度の向上

ソリューション/解決策
One EMRソリューションで、ネットワーク内のすべての病院を単一のエンタープライズモデルに統合
HCLTechは、Cernerの認定コンサルタントでもあるHCLTech社員数名を含め、Cernerアプリケーションスイートに関する非常に幅広い専門知識と経験を提供しました。これを基盤として、私たちはすぐにCernerの人材プールを活用し、正看護師とソフトウェアトレーナーからなるコアエキスパートのSWATチームを結成しました。チームは、知識共有プログラムを実施し、さらにネットワークの各病院に対して順次リリースする計画を立てました。クライアントの米国本社のほか、インドのチェンナイとバンガロールにあるHCLTechのオフィスで、300人以上の専任FTEからなるチームは、初年度に次の内容を達成しました。
- 完全にカスタマイズされたCerner Millennium技術ソリューションをエコシステム全体にエンドツーエンドで実装
- 医師、看護師、セラピスト、サポート専門家に対して1,500時間以上の現場トレーニングを実施
- クライアントのさまざまなデータセンターを統合
- 67個の中核的な臨床/非臨床アプリケーションを含むすべてのクロスファンクショナルサービスにおいて24時間365日の継続サポートを提供
- セキュリティ、コンプライアンス、ガバナンスサービスをシームレスに提供
One EMRシステムは完全に稼働可能となり、俊敏性、データ転送、相互運用性が向上しました。クライアントのネットワークにあるすべての病院が、現在単一のエンタープライズモデルに統合されています。

インパクト/成果
導入後3年で2,200万ドル以上のコスト削減へ
HCLTechがカスタマイズし、実装したCernerソリューションは、広範囲にわたるプロセスの最適化と自動化により、即座にコスト削減を実現しました。
初年度の想定削減額
初年度の実際の削減額
3年後に期待される削減額
最大のインパクトは大幅なコスト削減ですが、プロジェクトの成功はコストにとどまりません。たとえば、HCLTechはソフトウェアに関する高度な専門知識を持っており、Cerner社で想定していた収益サイクル管理期間よりも30%も早くシステム全体を導入できたため、価値実現までの時間が大幅に短縮されました。
その他の測定可能なメリットは次のとおりです。
- エンドユーザーの満足度が18%向上し、医師、看護師、セラピストの燃え尽きの減少や定着率の向上に直結しました
- マルチスキルを持つHCLTechのCernerリソースにより、EMRの導入率が25%向上しました
- 初日から95%の保証請求受理率を達成。臨床医が正しく文書を作成していることの表れであり、トレーニングプログラムの成功を意味します
- 初日から2日で請求処理が完了。業界平均の15日以上を大幅に上回ります
- セキュリティとコンプライアンスが強化されました
HCLTechはこのクライアントとのパートナーシップを今後も継続し、プロジェクトの進展を加速させていきます。プロジェクトの次の段階では、「One EMR」プラットフォーム全体をオンプレミスのサーバーからCernerのクラウドソリューションに移行し、コスト削減とEMRセキュリティの強化を図ります。